『野蛮人の読書術』(田村耕一郎)

『野蛮人の読書術』(田村耕一郎)

ブリーフィング
ここ最近巷で良く聞く「リベラルアーツ」とは日本語でいう「教養=文学者などが持つ生活感には欠ける、実用性が低い知識群」ではなく、「自由に生き抜く術」、つまりはこの複雑な世界をリードするためには不可欠な素養である。そしてその自由になるべく学ぶべき「素養」も時代によって当然変化しており、現代では

・先進課題
・先端科学、数学、哲学
・宗教、思想、文化、歴史
・経済、金融
・政治、外交、地域研究
・コミュニケーション能力

の6分野であるとしている。
そして、これらの素養を得るために筆者は「読書」が最も効率的であると説く。
「読書」は実際に会うのは難しいような、その分野の第一人者と「一対一」で対話し、知を学ぶ行為だからである。

そして、続く本編では自分のToDoで忙しい現代人に必要な「効率の良い読書法」をその道のプロの具体例を聞きながら、多数提示している。

第一に感じるのは
やはり、「アウトプット」の重要性だ。

現在、大学のゼミなどで一冊の本に関して議論することはあるが、
自分が今読んだ本に関して、それを読んでいる友達を探しだし、議論をするのは難しい。

よって、今回このブログを始めた訳である。

その他にも

・「目的意識」を持って読むこと。
・ 速読は無理にする必要はないということ
・ 本は最後まで読む必要はない

ということなどにも興味を持った。

語彙

キュレーション・・・情報を収集し、まとめたり、分類したりして、新しい価値を持たせること。
現代では、インターネットの普及による情報の氾濫より、よりキュレーションスキルが問われる。

サンクコスト・・・埋没費用。回収がどうしてもきかないコストのこと。

アイビーリーグ・・・米国東部の名門大学の一群。イェール・ハーバード・プリンストン・コロンビア・ ダートマス・コーネル・ペンシルベニア・ブラウンの8大学

ガバナンス・・・組織や社会に関与するメンバーが、主体的に関与を行う意思決定、合意形成システムのこと。⇔ガバメント

感想

まず以下の二点において価値のある書籍であると考える。

・第三章の「ブックリスト」が「東大EMP」が600万円で提供するプログラムで読まれるもので、
質が高いこと。事実、私も一冊だけ読んだ本があったが、名著であった。

・一般の「読書術」のように、「僕がこれでできて、これが効率的なんだから、こうするべきだ」的な文章ではなく、「多様な読書術」を紹介している点。

後者においては結局の所、正当な読書術などというものは存在せず、読書によって成功している、力をつけている人であってもその方法は様々であり、真に受けすぎないことが重要であると感じた。いままで考えになかった読書法を知れる点で面白い。

しかし、「最高の読書術」を学ぼうと期待している読者は「結局どうすればいいの?」ということになりかねないので、注意が必要。

おすすめしている本のレベルからしても対象は比較的読書経験がある、地力があるひと向けである。

ぜひ、ここにあった本をここ何ヶ月かで読破していきたい。