映画批評『アメリ』

点数:70点

子供時代、親の教育方針で友達を持たず、空想に浸りがちだったアメリは、成人して人を幸せにすることに喜びを覚えるようになる。しかし、そんなアメリはいまだ人とのコミュニケーション、特に男性との恋愛に関するそれを上手くとれず、自分の幸せは棚にあげていた。そんなアメリにも恋する男ができるが、彼も奥手。奇妙な縁が繋ぐ、二人のラブロマンス(?)。

ストーリーに独自性はそれほどないが、映画の表現手法とアメリを含め登場人物の人間性の二つが非常にオモシロい。

表現手法では、登場人物の話の間に客観的な視点から当該人物が考えていた心情が語られるという形式を採っている。またアメリのアパートの友人として、骨が極度に脆い絵描きの老人が出てくるのだが、彼の模写するルノワールの「舟遊びの人々の昼食」に出てくる女性についての解釈とアメリの状況を重ね合わせながら、つながっていく展開は見ていてオモシロかった。

また、登場人物の話では、まずアメリが異彩を放っている。かわいいし、大人びているようにみえて、実は内面、子供でいたづら好き。そんなちょっと変わった娘としてのアメリは見ている人を強く惹き付けるだろう。その他にも魅力的な(一風変わった)登場人物が多数存在する。

ストーリーのダイナミズムはあまりなかったように感じられるので、70点とした。