創造性:問題設定⇔具体案

 
i.schoolの堀井教授による、創造性研究においての、問題設定と具体案の間にある関係に関する記事。

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文明塾発表においても、DOを急ぎすぎるとアイデアとしては割と普通の所に収まっていた印象。まあ、DOをした後にCheckし、問題設定そのものに戻る時間と勇気が必要だったと言えるのかもしれない。

この記事を読んで、考えた具体例を以下に示すことにしたい。

 
例:障碍者のトイレエクスペリエンスの改造
 
UC Davisの図書館のトイレには扉の前に大きなボタンがあり、車いすの人が自分で扉を開け閉めする必要がないようになっている。また足が動かない人、手が動かない人用に高さも車いすに乗った際の手の高さと、足で蹴れる高さに二つセットされている点も興味深い。また、車いす用に大きめのトイレが大体容易されている点もすばらしいように思う。
 
ところで車いす生活を余儀なくされている障碍者の方にとって、これは本当にconfotableな体験であろうか。(車いす生活を「余儀なくされている」と書いた時点で、私の車いすへのネガティブイメージがあらわになる。この前、講演会に行ったWHiLLのように、車いす生活を「かっこよい」と思わせることにも思考の転換があり、イノベーションのタネが眠っているように思う。)
 
さて、本題に戻そう。
既存の車いすに乗っている人の生活を想像してみる。
まず、扉をあける、確かに面倒だ。
車いすが邪魔でトイレに入れない。広いスペースが必要だ。
ではトイレの中でどのように便器の上に移動しているのだろうか。
仮に足が悪い障碍者の方を想定した場合、手の力だけで、移動しなくてはならない。これは汚いかもしれないし、考えるだけで相当な負担だと分かる。
このように、その人のエクスペリエンスを「想像」してみること、そして可能であれば、「観察」することは問題発見において非常に有用であると分かる。
では、トイレエクスペリエンスをどう変化させればよいだろうか。
例えば切り口として、トイレを帰るべきだろうか、それとも車いすそのものにトイレへの移動を簡単にするような仕組みを作るべきであろうか。(具体化)
そう考えていくと、障碍者がトイレにおいて抱えている問題は必ずしも、トイレにおいてのみ起こっている訳ではないと分かる。
例えば、先ほどの「便器への移動」という作業は「ベットへの移動」と同じ問題を抱えている。つまり、もしかすると、トイレエクスペリエンスという当初の前提を飛び越えて、「車いすから他の場所への移動の難しさ」そのものが問題に思えてくる。(問題設定の振り返り)
 
このように当初の問題設定も当然した上で、具体化し、また問題設定に戻ることでより深い問題設定、そしてそれが面白い問題解決策の提案に結び付くと考えられる。